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元捕虜の訪日記録

日本政府招聘によるアメリカ人元捕虜・家族の来日
(2013年10月13日~10月21日)

2013年10月13日~10月21日、日本政府の招聘で、米元捕虜4人と捕虜未亡人3人、付添家族7人、計13人が来日しました。今回で4回目の招聘となります。16日の市民交流会の模様がNHKの2番組で放送されたほか、地方の訪問地でも多くのメディアの取材があり、捕虜問題について広くアピールする良い機会となりました。

来日された皆さんのプロフィール

ロバート・ヒーアさん(Mr. Robert Heer)元捕虜 92歳

フィリピン・ミンダナオで捕虜→42.9「りま丸」で台湾へ→花蓮港収容所→屏東収容所→台北第6収容所→45.2「大皇丸」で日本へ→函館亀田収容所(北海道)→45.5赤平収容所(北海道)
付添人:妻 カレン・ヒーアさん(Mrs. Karen Heer)

フィリップ・クーンさん(Mr. Phillip Coon)元捕虜 94歳

フィリピンで捕虜→バターン死の行進→44.10「北鮮丸」で台湾へ→員林収容所→45.1「めるぼるん丸」で日本へ→小坂収容所(秋田)
付添人:息子 マイケル・デニス・クーンさん(Mr. Michael Dennis Coon)

マーヴィン・ロスランスキーさん(Mr. Marvin Roslansky)元捕虜 91歳

グアム島で捕虜→42.1「あるぜんちな丸」で日本へ→善通寺収容所(香川県)
付添人:妻 ジョセフィン・ロスランスキーさん(Mrs. Josephine Roslansky)

アーウィン・ジョンソンさん(Mr. Erwin Johnson)元捕虜 92歳

フィリピンで捕虜→「バターン死の行進」→42.10「鳥取丸」で釜山へ→奉天収容所(満州)
※アンさんの兄も元捕虜で、奉天収容所で死亡している。
付添人:妻 アン・ジョンソンさん(Mrs. Ann Johnson)

マージーン・マクグルーさん(Mrs. Marjean McGrew)元捕虜夫人 86歳

亡夫はAlfred McGrew:
フィリピン・コレヒドールで捕虜→44.8「能登丸」で日本へ→大森収容所(東京)→日清製粉収容所(川崎)→諏訪収容所(長野県)
付添人:息子 スティーブ・マクグルーさん(Mr. Steve McGrew)

エッサー・ジェニングズさん(Mrs. Esther Jennings)元捕虜夫人 90歳

亡夫はClinton Jennings:
フィリピン・コレヒドールで捕虜→44.7「日昌丸」で日本へ→桂川平山収容所(福岡県)→福岡第1分所(福岡市)→宮田収容所(福岡県)

ローラ・カミンズさん(Mrs. Lora Cummins)元捕虜夫人 87歳

亡夫はFerron Cummins:
フィリピンで捕虜→44.8「能登丸」で日本へ→向島収容所(広島県)
付添人:娘 グレンダ・エレーン・サットンさん(Mrs. Glenda Elaine Sutton)

旅程

10月13日(日)

成田に到着。

10月14日(月) 英連邦戦死者墓地訪問

この墓地に眠っている約1,700人の大半は、日本国内の捕虜収容所で亡くなった英連邦の兵士ですが、納骨堂にはアメリカ兵48人の遺骨も納められています。彼らはマニラから日本へ移送される航海中に幾度も友軍の攻撃に遭い、ようやくたどり着いた門司港で息絶えてしまった人々です。

米軍横須賀基地から従軍牧師やバグパイパー他数名の兵士が参加して、厳かな慰霊式が執り行われました。POW研究会の田村佳子が、アメリカ兵がここに葬られるに至った経緯について説明しました。

英連邦戦死者墓地納骨堂にて

10月15日(火) 外務省訪問、共同記者会見、テンプル大学交流会

午前

一行は岸田文雄外務大臣を表敬訪問し、大臣はこの招へいが更なる心の和解を促進することを望んでいることなどを述べました。詳細は外務省HPをご覧下さい。 >>Link

午後

日本記者クラブで共同記者会見が行われました。詳細は日本記者クラブのHPをご覧下さい。YouTubeでご覧いただけます。 >>Link

夕方

港区のテンプル大学で学生たちとの交流会が行われました。詳細は同大学のHPをご覧下さい。YouTubeでご覧いただけます。 >>Link

10月16日(水) 駐日米国大使館訪問、市民交流集会、外務省レセプション

午後

港区の麻布台セミナーハウスにて、「元捕虜とその家族と交流する会」主催、POW研究会&「捕虜日米の対話」協力による市民交流会が行われました。台風の影響で交通の混乱もありましたが、約60人の参加者があり盛況でした。

詳細はこちらのページをご覧下さい >>Link

この集会の模様は、16日午後6時台のNHK「首都圏ネット」と10月24日のNHK海外放送の「News Line」という番組内で放送されました。この海外放送は「POWs return」というタイトルで右のサイトでご覧いただけます。 >>Link

市民交流集会の模様

10月17日(木)~18日(金) 地方訪問

一行13人は3グループに分かれ、北海道函館市、秋田県小坂町、香川県善通寺市と広島県尾道市の収容所跡地などを訪問しました。詳細は以下のレポートをご覧下さい。

・ヒーアさん、マクグルーさんの函館訪問 >>PDF

・クーンさん、ジョンソンさん、ジェニングズさんの小坂訪問 >>PDF

・ロスランスキーさん、カミンズさんの善通寺、向島訪問 >>PDF

10月19日(土) 京都

<霊山観音>

この寺のメモリアルホールには第2次大戦で亡くなった日本兵や連合軍捕虜の名簿やカードが保管されており、これらについて長年調査してきたPOW研究会のデヴィッド・モートンさんが案内役を務めました。彼がこれまでの調査結果について詳しく説明した後、それぞれが名簿やカードを繰って仲間や知り合いの名前を探しました。クーンさんが親友の名前を見つけて当時の彼の病状について語ってくれました。ローラ・カミンズさんも亡き夫の親友の名前を見つけ、娘さんが熱心にカメラに記録をおさめていました。クーンさんの息子さんやマージーン・マクグルーさんの息子さんも次々にカードが入っている重い引き出しを取り出して、それぞれのゆかりの方の名前を探していました。約1時間半の滞在でしたが、モートンさんによると、これまでで一番の盛り上がりだったそうです。

<立命館大学国際平和ミュージアム>

山根和代副館長のご挨拶とミュージアムの説明がありました。広島の第二世代であり、日系アメリカ人として苦難を経験した親族をもつというご自身のことや、日本の被害だけでなく加害を伝えるユニークなミュージアムであることなどを話してくださいました。

6~8名ほどのボランティアの方が対応してくださり、皆さん、時間をかけて展示をご覧になっていました。特に歴史に関心をよせられているヒーアさんとクーンさんの息子さんは、ミュージアムへの寄贈のアイデアをお持ちのようでした。帰国後もミュージアムとのつながりをもっていただけたら素晴らしいと思います。

霊山観音にて 立命館国際平和ミュージアムにて

10月20日(日) 京都観光

10月21日(月) 関西空港より帰国

(笹本妙子・前川志津)

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