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元捕虜の訪日記録

日本政府招聘によるアメリカ人元捕虜とその家族の来日
(2014年10月12日~10月20日)

2014年10月12日~10月20日、日本政府の招聘で、米元捕虜7人と付添家族7人、計14人が来日しました。今回で5回目の招聘となります。全員90歳以上、最高齢99歳という皆さんでしたが、様々な日本人と交流し、充実した日程をこなし、元気で無事に帰国されたのは何よりでした。14日の市民交流会の模様が毎日新聞で報道されたほか、15日の記者会見はNHK「首都圏ネット」で紹介、16日のクローリーさんの日立訪問についてはNHK、朝日新聞、茨城新聞が報道、サンチェスさん、シュワルツさん、ニコルスさんの東京・川崎訪問についてはワシントンポストなど海外紙3紙が報道しました。

来日された元捕虜の方々の略歴

アンソニー・コスタさん(Mr. Anthony Costa) 94歳

1920.1生まれ。1942.5.5コレヒドールで捕虜→42.11「長門丸」で日本へ→大阪第2派遣所(大阪市梅田)→1945.5大阪第5分所(福井県敦賀)

付添:
Maryann Costaさん(娘)

ダニエル・クローリーさん(Mr. Daniel Crowley) 92歳

1922.5生まれ。1942.5.6コレヒドールで捕虜→パラワン島→マニラの病院→1944.3「タイコク丸」で日本へ→44.4.11東京第8分所(茨城県日立本山)→44.7東京第9分所(栃木県足尾砂畑)

付添:
Kelley Crowleyさん(妻)

ウォーレン・ジョーゲンソンさん(Mr. Warren Jorgenson) 93歳

1921.3生まれ。1942.5コレヒドールで捕虜→1944.9「能登丸」で日本へ→仙台第6分所(秋田県尾去沢、別名「花輪キャンプ」)

付添:
Larry Jorgensonさん(息子)

オーラル・ニコルスさん(Mr. Oral C.Nichols) 93歳

1921.3生まれ。1940建設労働者としてウェーク島へ→1941.12.23ウェーク島で捕虜→42.1「新田丸」で上海へ→呉松(Woosung)→江湾(Kyanwang)→1945.7仙台第11分所(青森県天間林村)

付添:
Jefferey Nicholsさん(息子)

ウィリアム・サンチェスさん(Mr. William R. Sanchez) 96歳

1918.7生まれ。1942.5コレヒドールで捕虜→1942.10.「鳥取丸」で日本へ→東京本所(品川→大森)

ジャック・シュワルツさん(Mr. Jack Schwartz) 99歳

1915年生まれ 1941.12.9グアム島で捕虜→42.1「あるぜんちな丸」で日本へ→善通寺収容所(香川県善通寺)→東京第2分所(神奈川県川崎)→大阪第11分所(福井県六呂師)

付添:
Jack W. Schwartzさん(息子)

ダレル・スタークさん(Mr. Darrell D. Stark) 91歳

1923?年生まれ 1942.4.9バターン降伏時、病院入院中に捕虜→トラックでビリビッドへ→カバナツアン→ミンダナオ島のダバオ厚生園→1944.7.4「赤峰丸(別名Canadian Inventor, マテマテ丸)」で日本へ→1944.9.1門司着→名古屋第5分所(三重県四日市)→1945.5名古屋第11分所(富山市)

おもな日程

10月12日(日) 成田着 【東京泊】
13日(月・祝) 横浜英連邦戦死者墓地訪問 【東京泊】
14日(火) 国会議員との交流会、市民交流会、外務省訪問、レセプション 【東京泊】
15日(水) 米国大使館訪問、記者会見、テンプル大学交流会 【東京泊】
16日(木) 地方の捕虜収容所跡地など訪問(日立、東京・川崎、大阪) 【地方泊】
17日(金) 地方の捕虜収容所跡地など訪問→京都 【京都泊】
18日(土) 京都霊山観音にて死亡捕虜の名簿閲覧 【京都泊】
19日(日) 京都観光など 【京都泊】
20日(月) 関西空港発

英連邦墓地訪問 / 国会議員との交流会 / 米国大使館訪問

10月13日、横浜の英連邦戦死者墓地を訪問。この墓地の納骨堂には、輸送船で九州門司港に到着直後に死亡した48人のアメリカ兵の遺骨が納められています。米軍横須賀基地の従軍牧師と海兵隊員による厳かなセレモニーが行われ、元捕虜1人1人が献花しました。

14日午前、捕虜問題に関心を寄せる超党派の国会議員たちと交流。元捕虜の方々は、「戦中はつらい体験をしたが、中には親切な日本人もいた」、「戦後日本の発展に驚いている」、「過去を乗り越え、未来に向かうことが大事」などと語りました。
 その後、外務省を訪問、中山泰秀外務副大臣と面会しました。詳細は外務省HPをご参照下さい。

15日午前、米国大使館訪問。ケネディ大使は元捕虜たちにも大人気。大使は1人1人の話に丁寧に耳を傾けていました。
 午後、日本記者クラブで記者会見。この模様はYouTube とNHK首都圏ネットで紹介されました。

10.13 横浜の英連邦戦死者墓地にて
10.14 国会議員との交流会。後列左より坂口、江田、河村、岡田、藤田の各議員
10.15 米国大使館にて、キャロライン・ケネディ大使と

米元捕虜・家族との市民交流会

10月14日午後2時から、東京都港区にある大阪経済法科大学麻布台セミナーハウスにおいて元捕虜・家族の皆さんと市民との交流会が行われました。参加者はゲストを含め58名。全員90歳を越える元捕虜の皆さんは大変お元気で、終始温かい雰囲気に包まれた実り多い交流会となりました。詳しくはPDFをご覧ください。 >> PDFへのリンク

右側が元捕虜・家族の皆さん。参議院議員の藤田幸久氏も駆けつけて挨拶(左奥)

収容所跡地訪問

10月16~17日、一行は以下の3グループに分かれ、それぞれの収容所跡地や使役された企業、工場、鉱山跡などを訪ねました。

東京・川崎グループ(サンチェスさん、シュワルツさん、ニコルスさん)

小名木駅跡(墨田区)、大森収容所跡(大田区)、品川捕虜病院跡(品川区)、昭和電工(川崎市)、東京第2分所跡(川崎市)

詳しくはPDFをご覧ください。 >> PDFへのリンク

日立・足尾グループ(クローリーさん)

JX日立工場(茨城県日立市)、足尾銅山跡(栃木県日光市)

詳しくはPDFをご覧ください。 >> PDFへのリンク

大阪・四日市グループ(コスタさん、スタークさん、ジョーゲンソンさん)

石原産業四日市工場(四日市市)、日通大阪支店(大阪市)

※POW研究会メンバーが同行できなかったため、レポートはありません。

京都訪問

10月18~19日は京都に滞在し、連合軍捕虜や民間人抑留者の死亡者名簿が納められている霊山観音、立命館大学国際平和ミュージアムを見学し、金閣寺や舞妓のショーなどの観光を楽しみました。